HIVの症状
HIVに感染すると、体内に侵入したHIVウイルス(ヒト免疫不全ウイルス)は、血液やリンパ液の免疫細胞(ヘルパーT細胞やマクロファージ)に感染して増殖を始めるようになります。
感染後、2~4週間が過ぎると、体内のHIVウイルスが増加してくるために、風邪のような発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感(疲労感)などの初期症状が現れるようになります。
中には全く初期症状が現われない場合もあります。
初期のうちに起こる風邪に似た症状は、その後1~2週間程で自然に治まっていきます。
これは、急激に増えたHIVウイルスが、体内でできた抗体によって攻撃を受け、HIVウイルスの数が一時的に減るためですが、体内のHIVウイルスが完全に消滅した訳ではなく、HIVウイルスを保持した状態のまま3~10年の間は潜伏期間へと入っていきます。
初期症状が全く現れない場合や、潜伏期間中にHIV感染に気が付かない場合は、他の人に感染を広げたり、病状を進行させてしまう事になってしまいます。
潜伏期間中は、HIVウイルスと体内の抗体が均衡を保っている状態ですが、徐々にHIVウイルスが増殖するにつれ、体内の免疫細胞(ヘルパーT細胞やマクロファージ)が破壊されていきますので、少しずつ免疫力が損なわれていきます。
HIVウイルスと体内の抗体との均衡が完全に損なわれると、潜伏期間が終わり、免疫力は不全状態に陥ります。
そして、このような状態になった時点で、エイズ(後天性免疫不全症候群)の発症となります。
エイズを発症すると、免疫力の不全状態によって、健康な時には罹らないような感染力の弱い細菌やカビ、ウイルスや原虫などにも感染するようになり、カリニ肺炎やカポジ肉腫、悪性腫瘍などの様々な病気を引き起こすようになります。
そして、発熱、倦怠感、食欲不振、下痢、嘔吐が持続して、どんどん体が痩せて衰弱していきます。